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「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」の好きなところの話(オタク談義)

参考にした記事:

大変よくまとまっていて、素晴らしい記事なので、この記事を先に是非読んでください。

amp.amebaownd.com

 

 僕は、2015年、中学生の時に買って、今でも時々遊んでいるゲームがあります。ゼルダの伝説 ムジュラの仮面3Dです。

 

今回は主に、このゲームの魅力についての話や、もう2022年だから真面目にストーリーの解釈を考えても良いんじゃない?って話、それからこのサブイベント/会話が良いよねー!っていうオタク談義を主にします。

 

※この記事は、以前公開したものを2023/08/19に大幅に書き直したものです。

以前の版では、一部に自分の意見と引用の混同がありました。深くお詫び申し上げます。

 

 

この記事は、URLもしくはサイト名を明記して頂ければ、自由に内容の掲載、収入があるまとめサイト・検索サイト等へのリンクの掲載、及び、その他の著作権法上の「引用」と認められる範囲の利用が可能です。あらゆる許可は必要ありません。ただし筆者は一切の責任を負いません。具体的な条件はこちら(外部サイト)

どんなゲーム?

まあこの記事を読む人のほとんどは知ってると思うのですが、やはりシステムとストーリーのかみ合わせが素晴らしいゲームなので、改めて振り返ります。

 

①色々あって、あと3日で月が落ちて滅亡する世界に迷い込みました

実際に、ゲームプレイ中に常に時間が進みます。

②主人公は「時の歌」の力で最初の朝に戻れるようになりますが、住民の状態などはリセットされてしまいます

③3日間のループを繰り返し、ダンジョン攻略や住民との会話から3日で月を阻止する方法を探します

このように、主要なストーリーはこのような流れですが、これが2000年にできたのは凄いと思いますし、今でも似たゲームシステムのゲームというのは無いように思います。

しかし、このゲームには他にもゲームシステム的に大きな特徴があるのを忘れてはいけません。

これはストーリーの解釈にも重要だと思うので、遊んだ人も改めて振り返ってみましょう。

ゲームの特徴

お面と仮面

タイトルにも入っている「仮面」を被ることで様々な種族に変身し、それぞれの独自のアクションで謎を解くというというのは、このゲームのゲームシステム的な最大の目玉の一つと言っていいでしょう。

また、「お面」は作中世界ではカーニバルで被ったり、何かを伝えるために被るものとされていて、被ると特別な効果があったり、住民の反応が変わったりします。
こちらも、仮面と並んで主にサブイベントなどで、ゲームで重要な役割を果たします。

サブイベントの豊富さ

「ムジュラ」の特徴といったらやっぱりこれは外せないでしょう。

3日間の間に、NPCは常にそれぞれの時間に応じて行動が変化し、それぞれの登場人物に様々なドラマが起こります。

有名なものでは、突如結婚間際に失踪した青年カーフェイと、失踪の真意が分からず、月の衝突が迫る中で気持ちが揺れるアンジュ、そしてカーフェイに好意を寄せ、複雑な心境に置かれるアンジュの友だちクリミア三角関係を巡るイベントは、それぞれの心を上手く繋いで進めていく必要があり、テキスト量も多く最も印象に残るものの一つでしょう。

アンジュ

クリミア


また、2日に渡って町議会で行われている、月が迫る中で「カーニバル」を開催するか否かの議論はどこかリアルで、これもまたムジュラを象徴するイベントだと思います。

メッセージ性が強め

普段のゼルダシリーズは、ストーリーやサブイベントが充実していても、そこにすごく強い主題がある、という事はあまり多くないと思うのですが、僕は、ムジュラはそれとはかなり一線を画していて、一つ一つのサブイベントがかなり同じ主題を伝えているのではないかと思います。

それでは、「ムジュラ」で語られる主題はどんなものなのでしょうか?

このゲームの「主題」の解釈

ここからは、ある程度持論の話になっていきます。

僕は、ムジュラの主題を一番端的に表したのは、「月」の子どもたちの台詞だと思います。

一応説明すると、最後のステージである「月」を走っている子どもたちに今まで手に入れたお面を渡していくと聞ける台詞です。

全て聞くには、入手できる全てのお面をあげる必要があり、すなわち、ゲームの主要なサブイベントを一通り達成する必要があります

サブイベントを一通りやり込んだ最後に聞ける台詞が、いわゆる「答え合わせ」になっているといって良いでしょう。

※答え合わせ
このブログではよく使われる言葉。無くても解釈の「答え」は分かる(作品は成り立つ)が、ある事によってより「答え」が明確になる、直接的に主題を表したテキストのこと。

月の子どもたちは、正体不明で、タルミナ(ゲームで冒険する世界)の外と言っていい場所に居て、しかもゲームの最後に登場するため、その役割を持った人だと考えやすいと思う。

ああ、もうこの時点で良いゲームですね。何だかんだで、サブイベントがばらばらにあるという形式のゲームなので、最後にしっかり分かりやすい答え合わせがあるのって良いですよね。

という訳で、子どもたちの台詞を順番に振り返ってみましょう。

ねえ…
聞いて…いい?

キミの 友だちは…
どんな…ひと?

そのひとは…
キミのことを…
友だちと 思ってるのかな…

ねえ…
聞いて…いい?

キミの しあわせって
どんな…こと?

キミの しあわせは…
ほかのひとも…
しあわせ なのかな…

ねえ…
聞いて…いい?

正しいことって…
どんな…こと?

正しいことすると…
本当に みんな…
よろこぶのかな…

ねえ…
聞いて…いい?

キミの…
本当の顔は…
どんな…顔?

お面の…下の顔が
本当の顔…
なのかな…

 

…ツインモルド(最後の台詞)だけかなり総括している感じがありますが、4人の台詞はどれも基本的に同じ構造になっていて、どれも、平たく考えれば同じような事を言っていると僕は思います。

(※)この台詞の国語的な解釈については若干本題から外れるので、折り畳み

基本的には、自分は下記の記事と同じような解釈をしています。

amp.amebaownd.com

 

この台詞については、よく、「この質問の答え」みたいな話題が出ますが、あえてそれを言うとすれば、この記事に従えば「反語的な捉え方」、すなわち「~いや、そうではない」というのが「答え」でしょう。

 

四人の台詞をまとめて平たく言えば、だいたい

(や人によって起こること)には多面性があって、それがあるからこそ自分と周りの人との色々な関係が作られていく、色々なものの見方が生まれる。

という事だと思います。

しあわせ、正しいこと…それは必ずしも客観的、普遍的なものではなく、人によって、その人の心によって違った解釈がある、それが多面性です。

そして、多面性というものは誰もが普遍的に持っているものだという事も、このゲームに登場する様々な人たちを見てみるとなんとなく分かる事なんじゃないでしょうか。

 

…やっぱり最後のツインモルドが総括している感じなのが凄く良いなと僕は思います。

先ほど説明した通り、最後に、このゲームのゲームシステム的な目玉である「仮面」「お面」を使って説明しているのが好きです。

ここで言うお面というのは、勿論このゲームでのお面でありながら、人の様々な面、別な一面の比喩な訳ですよね。

「仮面を被る」という慣用句は、今でも主に悪い意味や、やむを得ない状況のニュアンスで使われることが多いと思いますが、このゲームは「仮面を被る」ことを肯定しているんですよね。

何故なら、ゲームシステムとして、主人公が仮面の力を使って世界を救っているのですから。

だから言葉として明言はされていなくても、仮面を(上手く、適切に)使うことは良いことだよ、と言った後にこのツインモルドの台詞が来るのはとても美しいなと思います。

サブイベントを主題の視点から見たりオタク談義したり

それでは、具体的にこれらの台詞の主題がどのようにサブイベントの中で表現されているかを個別に見てみたいと思います。

こっからは大分個人的な趣味とかもあるパートですがご了承ください。

愛の証を取り戻せ!(カーフェイ・アンジュ・クリミア)

久しぶりにプレイすると、ただ単にイベントをクリアするだけであれば極端に手順が多い訳では無いですが、それぞれのフラグ(イベントの達成度)や時間帯による台詞のパターン、そして人間関係の背景の分量は本当に膨大だなと改めて感じました。

まずカーフェイ自体が、婚礼の面を盗まれたことを隠し続ける、仮面を被った存在ですよね。

一日目の昼過ぎにアンジュにカーフェイからの手紙が届きますが、「待っていてほしい」ということだけ書いてあり、事情は書かれていないようです。

そして、イベントを進めた場合は、その真意を確かめたいと思うけど、同時に怖くて自分ではできないとリンクに託します。

また、意外とマイナーなネタな気がするのですが、夜11時にイベントを進めなかった場合、アンジュさんは次の日の午後に自分で洗濯場に様子を見に行きます。
しかし、結局手紙を出したわけではないので、ただ座るだけでカーフェイに出会うことはありません。

その時の台詞はこちら。

すいません
このあたりで 男の人
見かけませんでしたか?

(中略)

私は… ホントは…
彼に会うのが 怖いんです。

姿を見せない 理由を聞くのが…

ひょっとして 私のコト…

カーニバルまで あと2日…
待ってていいの?
カーフェイ…

また、デクナッツで話しかけると専用の台詞が見られます。

こんにちは ナッツさん。
今日は 雨ふりですね…

ナッツさんたちも 雨ふりの日には
ユウウツな気分に なるんですか?

……
めぐみの雨ですもの
うれしいに 決まってますよね。

 

(2回目)

…元気 出さなきゃ
ダメですよね。

自分にとってゆううつな雨は、デクナッツにとってはめぐみの雨だろうという話をしてくれますが、これが、クリミアさんを意識した台詞なのか、ただ、元気を出そうと思って言ったのかはまあ、解釈ですよね。

クリミアさんとアンジュさんの関係性はプレイヤーにも本当に断片的にしか語られないので、まあ、色々と解釈できるところだよなと思います。

クリミアさんの「落っこちるかな… あれ…」も良い台詞ですよね。

終わらない会議(町長公邸)

僕が初めて中学の時に遊んだときは、「無理やりカーニバルを開催しようとするなんて、悪い奴だなあ」と思った気がしますが、今はそういう話じゃないよなあと思います

最終的に、めおとのお面で会議を終わらせても、カーニバルが中止になるオチにはならないですからね。

…今見ると、ムトーがヨメさんが無事に避難しているかを気遣う一面が印象的なイベントでした。

これはそれこそ、「正しいこと」の多様さ、必ずしも皆が同じ「正しさ」を持っている訳ではないこと、そして同じ人の中でもある様々な面、を象徴するイベントなのかなと思います。

それぞれの人が違う正しさを持つなのに、それを忘れて意地を張って正義を主張し続けたのが、各々の自由にするという形で会議が終わるというオチになっているのではないでしょうか。

 

……あんまり言うとあれなことではありますが、そうはいってもやはり、このイベントはここ数年の有象無象の出来事を経てからやることで、改めて色々なことが考えられるものだったなと感じます。

やっぱり…初めてこのゲームをプレイしたのは2015年ですが、その時には、まさか、世界が大変なことになったとき、これと似たような出来事が本当に起こるとは全く思っていませんでした。

でも、実際に起こってから見てみると、このイベントに対して「どっちかが悪い訳じゃない」という結論を出せるコンテンツ、考え方って、とっても貴重なんじゃないかなと改めて思います。

 

……このゲームは2000年発売、1999年の1年間で開発されたゲームですが、どうなんでしょうね。その時の社会で、何かしらこのイベントを想起させるような出来事はあったのでしょうか。それとも、完全に、実際に起こった時のことを想像して作られたものなんでしょうか。

まあストーリーの解釈的にはどっちでもいい事ですが、その時生まれてない自分には中々分からないものではありますね……

 

あともう一つ言いたいこと。

こういうイベントで、明確にどちらかを悪いキャラクターにして「どちらかが悪い」っていうお話にするのは簡単じゃないですか。

あと、こういうイベントに限らず、人間のある種の醜さ、弱さ、みたいなのを描くにあたって、弱いことに批判的なコンテンツって結構多いと思うんです。

ペルソナシリーズとか、割と「弱さに向き合わないこと」、「自分勝手に動くこと」に結構厳しいという印象があります。

そういう事に真剣に向き合うことというのは、時としてとても大事なことで、それもまた大切な考え方であることは理解してるのですが、でも、この作品のような、ある種の諦観…というか、誰も責めなくていいよね、だって人間ってそんなもんだよね、というくらいの立ち位置が、自分には合ってるなあと思うし、それも同等に大事な考え方だと思っています。

ポストマンの悩み(ポストハット入手)

これもまた、単に公務員の悪口のイベントではないよね、ってやつだと思います。

「町のために働く」という彼の真面目な一面からの「正しさ」があり、その一方で逃げたいという自分もあり、「正しいこと」が二つ並んだ状況だからこその彼の、どちらの顔を取るかという苦悩が見られるイベントかなと僕は思います。

ただ、「自由になる」というのがオチである以上、色々な要因で「どちらかを選びにくい状況」「『顔が固定された』状況」という「悪い」状況に陥ってしまっていた、というのは事実だと思いますが……

でも、それって結構、このイベントのぱっと見たジョーク的な印象よりはずっと深い悩みだと感じます。

 

「顔が固定される」(上手く顔を使い分けられない)のが作中の「呪い」だよね、っていう解釈は冒頭に紹介した記事にも書かれているので見てみてください。

その他雑記

・剣道場のおじさんは全てのお面への反応があり、更に最期の夜の姿もあるという意味では一番「顔の多さ」を表したキャラクターかもしれません。

・海のクモ館でクモを退治するとやってくる人は、地下シェルターだと思って避難してきたことが分かります。実際には多くの人が3日間の間やそれ以前から町から避難していて、ゲームで描かれてるのが事情があって避難してない人だけだという事が分かる気がします。ゲーム表現としての省略の仕方が綺麗だなと思います。

(クリミアの台詞からも、アンジュ達以外にも牧場方面に避難してきた人がいる事が示唆されています。)

・自分が一番好きな台詞は、最期の夜になる時のクリミアさんの「また…あした…ね。」です。

・「座長のお面」を被ると発生する「あやしいミルク」のイベントは3DS版で追加されたものですが、その割に「見栄を張って、言えない気持ち」っていう結構メインテーマに沿ったイベントで、細かいネタも多くてよく出来てるよなと思います。

参考資料

amp.amebaownd.com

この記事を書くにあたって参考にした記事です。

kc1game.hatenablog.com

以前に自分が書いた記事です。

majorasmask.html.xdomain.jp

色々役に立ちました。

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D 紹介映像 - YouTube

公式の良い紹介映像です。

 

ムジュラの仮面」は現在、switch online追加パックに加入していれば遊べる他、3D版はamazonの中古で2500円くらいで買えるみたいです。(記事執筆時点)

今から(初めて・再び)ムジュラを遊ぶだけなら、個人的にはなんだかんだで色々細かいところが全部舗装されてる3D版がおすすめです。

特に周回プレイをする時に、どのイベントが終わっててどのイベントが終わってないのかが一切分からないのは今の時代にはやや苦しいのではないかと思います。

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