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【雑記】まちカドまぞく 6巻まで読んだ初見感想とかの備忘録(ネタバレ)

この記事には「まちカドまぞく」6巻までのネタバレが含まれます。

※見てない人はCOMIC FUZで試し読みしたり、アニメを各種配信サイトから見てみよう!

comic-fuz.com

2022/7/25 「総評」などを追記

 

いやあ、読みましたよ、まちカドまぞく。

僕が今までに摂取してきた作品の中でもトップクラスに好きな作品といえる、大切なものになったと思います。

 

それで、単行本を買って読み始めたのが7/4頃なので、もう三週間くらい経つことになるんですよね。

この作品は僕が好きな作品の中でも、一番二番くらいに話が非常に「真面目」な作品だと感じたので、頑張って色々とちゃんと解釈を言語化して、それから総評のブログ記事とかを書こうと思ったんですけど、三週間くらい経つとそもそも初見の頃に思った気持ちとかを色々忘れてしまっていることに気づきました。

僕は真面目に作品を解釈したい……という気持ちはありますが、まだ読んでパっとそれを出力できるほどの人にはなっていないので、それだったら無理せず今の気持ちをどこかに書き残しておこうという事で今回の記事を書くことにしました。

なのでこの記事は、もう少しで忘れそうな事のメモ書きみたいなやつです。

 

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1巻

・1巻をamazon primeの無料のやつで読んで、ちょっと読んだだけで凄く面白かったのですぐ単行本を全部買った。

・現代の一般的な4コマ漫画が今どういう感じになってるのか全然知らなかったけど、「4コマだけど話がずっと続いてる」形式は自分には結構読みやすかったなと思った。

情報量がめちゃくちゃ多いし重要な場面で字が小さかったりしがちだから顔を結構近づけないといけない事もあったけど、感覚としては小説に近い感じで読めたのが良かったのかも。

同じ大きさのコマだけが連続してるのを一個ずつ見るのは小説の文字だけが続いてるのを見るのに近かったかも。(それよりは4コマで一応ひとまとまりになってるからずっと読みやすいし。)

・同じ大きさのコマだけが連続しているのに、その中で魅せ場のコマ、重要なコマとかがパッと分かるようになってるのが本当にすごい。

 

・ここら辺の序盤、2巻くらいまでは本当に「日常の中の非日常」(※後述)って感じですごく楽しかった。青い鳥文庫とかその他諸々を読んだ時の気持ちを10年近くぶりとかに感じられて良かった(小学校の時は読みまくったけど、それ以降はもう読む本が無くなって紙の本と無縁になっていってしまったので……)

 

・とはいえ、一巻からシャミ子の家の財政状況のリアルさの書き込み、描写が明らかにギャグで消化できない細かさだなと最初から思ってた。

まあ、なんとなくこの時点で真面目というか、少なくともギャグやコメディーと呼ばれる話とは違うものだろうという察しはついてたかな。

個人的に印象に残ったのはブラウン管テレビの上に地デジチューナーが乗ってる描写
後の巻を見るとばんだ荘の備品っぽいけど、こんなもの、個人経営の飲食店とか、何台もテレビが置いてあるような場所で1,2年見たか見てないかだよ。(自分の周りの範囲では。)

ごせんぞの封印空間にもあるせいでアニメ版ではかなり見る機会が増えてしまった(というかばんだ荘の背景を見る機会がめちゃくちゃ増えてしまった(情報量自体はそんなに増えてないけど))。

・ここら辺は後から振り返ると、やっぱ「4万円生活の呪いは色々な苦労、誰かの想いによってかけられたものだよ」っていうのと、生活が豊かではあるけど色々失ったものがある桃との対比みたいな感じだよね。実際前者が明らかになった後は桃もばんだ荘に住むようになるし。

 

・USBトイカメラを買う回。アニメOPの最後にも扉絵が採用された印象的な回だなあ。

桃が一人暮らしなのが改めて説明されて、桃がシャミ子の家族に気をつかい、それによって「良かった」とシャミ子が感じる回。そして二人も少し仲良くなり、一緒に写真を撮る。ここら辺の細かい心の表現はまちカドまぞくって感じがするよね。

 

・1巻の終盤は魔法少女の生き血を入手するところで終わり。「この町だけは守りたい」のコマは本当に印象に残った。全部同じコマの大きさで、コマの情報量とか画のアングルとかで差をつけて印象付けてくるの本当にすごいよね…

2巻

ノリとかはまだ1巻の後半と似たような感じの巻だけど、だんだん二人が何のために頑張るのか、どういう関係性でいくのか、というのが描かれる巻。

・テストで「誤解されてるみたいだけど」という桃のコマも印象的だよね。極端に情報量が少ないコマの使いどころ。

・ちぎれぬアイス ここら辺の前後から色々な事実が明らかになっていく。

・「神話の時代から幾星霜」ここのナレーション、漫画でもめちゃくちゃ印象に残ったけどアニメ版で最後に来たのはめっちゃ良かったよね………1期12話は「アニメの最終回」として上手く終わらせてるから本当に好き。

・今明かされる!!あの呪いのルーツ

ここで、桜さんが多大な代償を払ってまで呪いを操作したことや、その他吉田家を助けてくれたことが明らかに。

本当に切実な話なので、インパクトがあったなあ。

・アニメ11話ではシャミ子が病院に通っていた頃のカットが独自に追加され、原作を見た人も結構辛くなるシリアスさに。

→今アニメを見ると、11,12話だけで病院の絵が数枚と、街並みの絵がいくつかとかかなり原作に無いカット絵が追加されてたね。

……こう振り返るとやっぱアニメ、尺少ないって言いながら相当ちゃんとしてるな!?

いや、別にちゃんとしてないと思って見てた訳じゃないけど、シーンごとに振り返るとシリアスなところをシリアスに、楽しいところを楽しくしてるアニメだなあと改めて感じる。

・「色々な人に支えられて」というのをしっかり台詞としてお母さんに言って、そして桃を追うという流れにやっぱ心を打たれた。

・そしてあのナレーション。これは本当に良いですね(それしか言う事が無い)。

真面目な漫画だなと思った。

「自分が色々な人に支えられた」からこそ、桃も一人で無理をしないように勧め、協力することを申し出る、そしてシャミ子は「何もかも諦めず取り戻す」、という流れ、あまりに真面目。

今見ると、「取り戻す」という表現がまた、何かとお互いに色々なものを失っているところがある、というのを「前提にしてる」この作品らしいなと思う。

「誰かのために何かをする」ということはまちカドまぞくの一つのテーマだと思うけど、なんか本当にそういう話に弱いんだよな、俺………

3巻

初見の時は3巻まで読んだところでかなり情緒不安定になって大変だった記憶がある。でもまあ、あのインパクトは初見だからこそ、というのがやっぱり大きかったかな。

 

・「どしたの?すごい笑顔じゃん」と杏里ちゃんが桃に言うシーン(p13右)、ここら辺は完全に二巻からの流れなのでアニメ一期でここら辺までの範囲を入れたのはかなり良かったと思う。アニメ11,12話は全体的に構成を上手くアニメ仕様に合わせて色々独自要素を入れたりもして整えていて、本当にすごい。

 

・p29左の「いつかまぞくが付け入るぞ!!」のコマも、4コマなのにインパクトを残してくる凄いコマ。

 

・2巻の余興が終わるとすぐに廃工場で桜さんの手がかりを探す話に。やっぱり三巻は密度が濃い。

・2巻で桃がシャミ子から離れてしまいそうなのを止めて、一緒に桜さんを探すことを決めたけど、それでもあまり笑わない桃。ここで最初にその話題が出てくる。そしてシャミ子の目標に。

 

・終盤、登場人物も増え、桜さんの話、各種の設定が次々と明かされる怒涛の展開。ここら辺からだんだん青い鳥文庫よりはちょっと難しくなってくる。

 

・「いやな思い出」を見た時の「ご飯も毎日おいしいのに…」で泣いてしまう。(p98)
おいしいご飯、本当にこの作品で色々なものを象徴してるよね。ここは何かもう、これ以上言う言葉が思いつかない……ほとんど全部言語化されてるし。

・どうでもいいけどp99左の表題「モンスターハウスだ!!」だったんだ…この作品は結構細かいゲームネタも多め。

 

・桜さんが登場、そして彼女のコアがシャミ子の魂を支えることに……

やっぱりここが初見で衝撃だったなと思う。そうだったんだ…っていうのと同時にそんな……っていう気持ちになる感じ。

 

・シャミ子も桃の笑顔を見られないことを訴える。しかし、桃は新しい目標、大事にしたいものを見つけて笑顔に……。やっぱりここからの流れは本当に良い…としか言いようが無い。

・そしてぽっきんアイスの誓い。アニメではちゃんと「夕日の誓い」感が出てて良かった。巻の終わり方があまりにも綺麗すぎるとしか言いようが無い…

 

・3巻は改めて振り返ると、ずっと何かしらストーリーが動くような話が続いていて、本当に密度も濃いし、全巻を振り返ってもやっぱり節目の巻だなと感じた。

連載の都合的なあれで色々出てきた面もあったと思うけど、後の巻とかを読んでから振り返っても、6巻でやっと再び桜さんが出たり、桃の笑顔の回想が出たりするのとかがあって、全体で見ても大分重要な節目という印象は強い。

 

4巻

・最初はそこまで印象が濃い巻では無く、単にシャミ子の成長を描いた感じかなーと思ってたけど、アニメで見てよく分かったなという巻。詳しくはこれを見てください。

kc1game.hatenablog.com

 

・4巻からは流石に大分青い鳥文庫よりは難しくなってくるけど、まあ、自分はその後も色々なメディアでこういう話に慣れ親しんでたので特に問題無く読めた。というか三巻まで読めたら後は勢いで読めるからね。

 

・ただまあ、4巻はそこまで道中に大きなイベントが無く(新しい設定は大量に出てくるけど)、終盤の話は上のブログにほとんど書いたのでまあ……今回はあまり書かなくて良いかな。またなんか書くことがあったら追記します。

5巻

真面目過ぎるよーーーーー!以外の感想が無かった巻

いや、あまりにも真面目すぎないかこの話は?

(まあ4巻以降全部真面目度が一段階違うんだけど、この巻は特に…)

魔法っていうのはやっぱり「認知」の力、平たく言ったら心の力なんですけど、なんかもうそれに真摯かつ分かりやすすぎるので最初それ以外の感想が出なかった。

 

どう真面目かについてはちゃんと詳しくじっくり個別記事を書きたいのだけど、今はちょっとまだまとまってないので何となくだけここに書き留める。(ちゃんと解釈してから感想を書きたいタイプのお話。)

 

・p10「ウガルルさんの一件で人と繋がることの大切さを思い知りました」

4巻の言語化すぎる………!!!結局あの話ってそれが全てだからさ…この漫画は結構ちゃんと自分で言語化するよね。

 

・5巻もあんまり道中で話すことは無いかも。やっぱ4巻から初見での作品の見方自体も変わっていった感じがする。

 

・4巻のテーマの一つが「皆に居場所がある町を作る」ということだよね、という話は4巻の記事でしたけど、作品全体のテーマでもあるよね。だからまた出てくる。(p79)

 

・店長の封印を解除するため、まずは朱紅玉の夢の中に入り、そして、過去の記憶に寄り添って誤解を解き、認知(ものの捉え方)を変えることで問題の解決を目指す。

リコさんに対しては、新たなものの考え方と、そのための方法を提案することで納得してもらう。

……いやあ、「心」の話としてすっごく真面目な解決方法だよね……

目覚めた二人が突然和解し合うという絵面こそ不自然に見えるけれど、シャミ子がやった事は間違いなく正道というか、もうこれ以外には無いくらいきちんとした解決の道筋でしょう。

……というか、なんかもう思い切り認知行動療法認知療法)の考え方とほぼ同じなんだよね、これ。

画像:

https://www.stress-coping.com/ninchi.html

認知行動療法について詳しく知りたい人は下のサイトとかを見てください。

認知行動療法 | あいち保健管理センター|カウンセリング・リワーク・復職支援・再就職支援・認知行動療法|名古屋市指定

 

ここら辺は自分は専門家ではないのであんまり言いすぎるとあれだけど、でもまあ、これと同じだよな、と思えるのはやっぱり「心」に対して真面目に向き合った作品だからかなと思う。

 

・しかし、シャミ子は人の心に「つけこんで気持ちを書き換える(洗脳?)」やり方は本当に良かったのか、と桃に訴える。

そして、それを「寄り添って共感する力」と表現した桃。

ま、真面目だーーーーーーーー!!!!!!!!!!

心の話としても魔法の話としても(結局どっちでも同じことなんだけど)真面目過ぎる!!

ここのコマがまちカドまぞく全巻で一番好きかもしれん。真面目すぎるので。

・やっぱ「共感」っていう言葉選びが本当に丁度良いというか、最も適切な言葉ですよね。

「説得」とか「気持ちを変えた」とかの言い方じゃなくて「共感」っていう、誰でもできるすごく普遍的なもの、かつ穏やかなものなんですよね、っていうのにちゃんと向き合ってる。それがちょっと上手いだけだよね、っていう話。

いや、なんかやっぱりここは凄く大事な話なんだけど、どう真面目なのか言語化するのが本当に難しいな……やっぱりこれ以上詳しい話は別途記事になると思います。もうちょっと練らないと難しい。

参考資料

要するに「魔法って夢の力で(思ったことは)なんでもできるけど、だからこそ使い手の気持ち、意思が重要だよね。でもそれって現実の強い力も同じだから魔法がある世界でも無い世界でも言う程変わらないよね」っていう話と、「対話(コミュニケーション)をして誰かに寄り添うっていうのは皆ができることで、きっと正しく使えばもっと皆が幸せになれるよね」みたいな話を同時にしてる訳です。
「同時にしてる」っていうのも凄いんですよ
いや、これで伝わる人いるのかな?伝わる人には伝わるんだろうけど、別記事を書く時はもう少し煮詰めます。

『洗脳』の例として桃がシャミ子を誘惑したり、ジキエルが力の危うさに警鐘を鳴らしたりするカットとか、構成もすごく良い巻。

 

・実際シャミ子がもっと強くなれば、認知行動療法の図でいう「状況」(記憶)や「行動」も直接改ざんできるんだろうし、そこまで行くと少々人知を超えた力になってしまうと思うんだけど、「認知」を変えるのは普通の人間の力の延長線上に等しいよなと思う。

 

追記:5巻に関しては本当に凄すぎるので、より詳しく語った記事を書きました。

kc1game.hatenablog.com

6巻

さて、問題の6巻が来ました。

なんですかこれ?本当に最初どう解釈していいのか分からなかったよ?

いや最後の話は分かったけどさあ……それどころじゃなさすぎるでしょ。

 

 

・まだ私には知らないことが沢山ある(2巻くらいからあったと思うけど6巻にしてようやく気付いた事実)

実際のところ、3巻以来に大きく町の謎関連の話題が動いた感じがある巻だよね。

 

・色々大量に情報が出てきたり、言いたい事は沢山あるけど、時空の迷子から元の世界に戻って来たけどなんか日常がおかしくない??っていうのと、スイーツラウンジに行くのが同じ話の中にあるの、マジで6巻はテンポが凄まじいな……

・6巻の終盤イベントはスイーツラウンジから一繋ぎ、という風に見るとすごく綺麗に話が作られてると思う(実際ここから6巻の最後まで同じ日にちだし)。まあ、その過程が重たすぎるんだけど……

・「魔のものたち」という呼び方が凄く好き。この話に出てくる魔族と魔法少女たちは、「魔」ならではだったり、それ以外のことでも、色々な事があったり、共通点があったりする所が多いからね。

あとまちカドまぞくのクラスメイト本当に可愛すぎる。アニメで更に可愛くなってて良かったね。

 

・スイーツラウンジ回では、まちカドまぞくでは今まであんまり無かった、女子たちと魔のものたち、そしてシャミ子と桃の距離の近さがこれでもかと描かれる。(全体的にオタクっぽいスラングみたいなのは非常に少ない話だもんねいつも)

ここで「1巻でまぞくになってから、長い期間を経てシャミ子や桃がクラスの皆とも仲良くなれた」という事と「シャミ子が桃と特別な関係でありたい」という事が示された上であのモノローグが入って過去編が始まるの、本当によくできてるよ……

・魔のものファンクラブ、45人もいるの凄すぎる。

 

・杏里ちゃんが中学時代に部活に誘うシーンとか、ちゃんと絵があるのが良いよね……

「ごはんの味がするようになってきた」あまりにもまちカドまぞくだ……

「(他人や周りのものを気にするようになったからこそ)ささいなことで気持ちが揺らぐようになった」っていうのがちゃんと書いてあるのも、真面目だよなあ………

・「だいじな宝物」はアニメ主題歌にもある歌詞で、これもまちカドまぞくを象徴するフレーズだなと感じる。

まちカド、そしてそこでの人と人の関係全体が宝物…なのかなと自分は思う。

 

(追記)
シャミ子と桃の関係は単に二人だけだけの深い関係性を表したものではなく、町全体の温かい人間関係の縮図
だから「まちカドまぞく」
というタイトルだと自分は思ってるんだけど、それをちゃんと重要な局面で何度も回収してくるのがこの作品、すごく好き。

 

・今見るとヤバめの魔法少女が「姉の昔からの知り合い」であることは何故か桃も知ってるんだ。何でだろう……

・「私は今こうして元気だから」、本当に6巻になって満を持して言えた台詞という感じで良いよね…

・「できれば手とか繋いでて」、本当にかつてない怖さを感じさせる描写。

・表紙を見ると、スイカの服は本当に真っ黒なんだろうか。カラーで見るとこれ以上にインパクトが強そうだなと思う。

 

・色々言いたい事はあるけど、やっぱり本当に強烈だったね、那由他誰何……

とにかくこの人がまちカドまぞくという作品の全てのテーマのアンチテーゼを一手に引き受けて背負った人であることは間違い無いでしょう。

まあ、何より折角桜さんが作った町で既に大量のまぞくを殺害していることがかなりのインパクトだけど、それ以外でも思想の全てがまちカドまぞくのアンチテーゼなので本当に凄い。ここまでする??

「対話」の話だからって説得で絶対に何とかならなさそうな、純粋すぎる殺し屋をお出ししてくる作品はなんか…凄いよね……こんな本当に「怖い」と思う敵は初めて見た気がする。

・真面目な話をすると、スイカは出会いがあれば必ず別れがあり、何かで得をする人がいれば必ず損をする人がいる、そういう事を嫌っている。

まちカドまぞくという作品で示されてきた話は、たとえ別れが訪れることがあっても、たとえ過去に辛いことがあったとしても、誰かとそれを分かち合うこと、誰かと対話することでそれを乗り越えられる、それは有限ではなく「ずっと輝いている宝物」になる、というような話だったり、あと、具体的な話では、桜さんとかヨシュアさんとかと(死亡ではないが)今は会えなくても、気持ちは受け継がれていてそういう意味で「心」は彼女の言う「終わり」を超えられるとか、まあ、そういった話だからアンチテーゼとしては本当にしっかりしてるなと思う。

 

・でも話の展開がそれどころではなさすぎる

ここで桃の下半身がほとんどもげます

(※1巻、2巻よりシャミ子はスプラッタが苦手だけど、それがこんなところで回収…ではないけど、本当にスプラッタが発生する漫画があるか!)

下半身はまあ、あんまり見えないような感じになってるんだけど、カードを手に取ろうとする爪が剥がれてるのがめちゃくちゃ痛々しいコマですよね。まだ9歳なんですけど……………

いや、一応5巻まで平然とやってきたのに突然6巻で腕と下半身がもげて爪が剥がれる漫画、冷静に考えて何!?

 

・そして最後の誰何の影?の謎は残ったまま。これまでの1000年以上の間にも彼女と戦った人はいるのかもしれないし、今後も戦うことになるのだろうけど、それは同じ誰何なのだろうか…?

そして今は桜の木が枯れ、壺が無くなったまま……

 

・今明かされる!桃色の過去の過去

………これは初見の時は分からなかったけど、分からないままの方が良かったかなあ。そういう訳にはいかないよね。

細かい状況(魔法少女にもうなってる?この直後?)とかは本当に推測するしか無いシーンだけど、真面目な話をすると、やっぱり出自ってアイデンティティだし、大変な事があってもそれは大事なものだから、それを消すということは普通はあんまり行わないと思うので(この作品のコンセプト、せいいき桜が丘という町の雰囲気的にも)、まあ、……それでも行うくらい大変な状況ではあったんだろうね。という感じだね…………

 

・「かいふくのつえ」……構図があまりにも良すぎるコマ。

桃の笑顔を守る、という決意をした時に現れた「かいふくのつえ」が本来というか、最初に見つけた時、お父さんが使っているのと同じ見た目の杖……というのはなんか……もう言葉にしなくていいか?

5巻からの流れとかも考えて、「誰かに寄り添う(心に寄り添う)」というのがシャミ子の最も強い力(心の最も重要な部分)で、それを強く願った時に初めて心の形が杖に現れた(本当の自分の気持ちが明確になったことで杖の形も明確になった)、みたいな解釈を今のところしてます。(これで伝わるかな?)

「かいふくのつえ」を使いたかったというのは、桃の肉体的な傷の酷さだけでなく精神的に辛いことを味わったのを何とかしてやりたかった、という気持ちも大きいと思うので…

 

「かいふくのつえ」の場面は、まあ、皆大体なんとなくの結論は同じになると思うけど、それをどう言葉にするかは人によって結構個性が出そうな場面だなと思うので、読んだ人皆に解釈を聞いて回りたいくらい。

(そのうちもっとちゃんと考えてブログに書いたり書かなかったりするか分からない。でもどう解釈しても結局ある程度は同じところに行きつきそうな気はする。)

 

初見ではないけど6巻についても記事を書きました。

kc1game.hatenablog.com

総評

ここは後日書きます。

今日はガチで一日中漫画とパソコンに向き合っていたので。

追記 2022/7/25

実にここまで(6巻の項まで)を書くのに9000字もの字数を使ってます。
我ながらよくここまで長い記事を頑張って書いた………

 

書いたのを振り返ってみて思うのは、やっぱり4巻は以降作品自体が真面目過ぎるので、初見感想の時点で普通に真面目な解釈とかの話に移らざるを得ないということかな。

4巻以降は話の設定とか、そういうものも複雑になっていくけど、それ以上に話の真面目度が前半と明らかに違うなと改めて感じる記事になった。

 

 

それで、総評としては……まあ、あまり初見の頃から変わってないけど、とにかく「非日常の中の日常」を前面に押し出した漫画なので、そういうのが好きな人、あと、それから子どもの頃にマジックツリーハウスとか、青い鳥文庫とか、その他ファンタジー小説とか、あるいはオカルトの本だったりゲーム題材の4コマを読んだりした人にはもっともっと広めていきたいなと思える漫画、かな。

終盤は難しかったり話が大変になったりするけど、3巻までで気に入ればきっとそれ以降も楽しめるはずなので。

 

逆にそういうのに全く縁が無い人にはあんまり向いてないところもあるかもしれないけど、でも、守備範囲は広いから、本当に全く縁が無い人って早々いないと思うし、ちょっと縁があればすごく間口が広い漫画で、だからこそ自分も読めたよな、と思う。

 

それで、自分は最初、「日常の中の非日常」の話かなと思ってこれを読んでたんだけど、作者さんのインタビューでは、作者さんは「非日常の中の日常」が好きだそうで

media.comicspace.jp

まあ、6巻まで読んでからこれを見ると、なるほどなあって感じはあるよね。
まちカドまぞくも、真面目に「日常」の尊さとか、そういう話をする漫画なんだろうと思った。

真面目な話が好きであれば、読み手はどっちの解釈でも楽しく読めると思うけどね!間口が広いので。

 

 

で、全体的な解釈の話をすると、既にこの記事で書いた気はするけど、まちカドまぞくのテーマはやっぱり「心」「対話(コミュニケーション)」「人と人との関係性」(の肯定)だと僕は思っていて、それに関して1巻から6巻まで全くぶれないのが凄いなと思った。

シャミ子と桃は偶然知り合って、成り行きで仲良くなって、それで何となく関係性を続けていく………。そこまではまあ、こういう「友情もの」と言ったらいいのか、そういう話では良くあることじゃないですか。

だけど、ちゃんと、その関係を維持し続ける過程にコミュニケーション、心の動きがある。特に二巻の最後とかでは必死に関係を続けようとするけれど、その他の巻でも、二人が一緒に話し合うことで関係を保っていく、そこの描写が凄くちゃんとしてるのがテーマに忠実で良いなと思う。

あと、「みんなの住みやすい町を作っていく」というのも後半になるとシャミ子達の目標の一つになるけど、これも、気遣いとか、心に働きかけること、お互いを知る事によって誰かに居場所ができるよ、という話なので好き。

 

もうコミュニケーション賛歌と言ってもいいんじゃないかと思うけど、やっぱり、これだけテーマが普遍的で、しかも間口が広くて面白い漫画はやっぱりもっともっと、色々な垣根を越えて良さを伝えていきたいなと思う。

 

また何か追記する事もあると思うけど、今回は一旦これくらいで。

 

当ブログでは他にも色々まちカドまぞくの記事を書いています。
真面目にストーリーの解釈や言語化をした、ちょっと珍しい記事が多いかもしれませんが、是非見ていってください。

kc1game.hatenablog.com

 

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