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(ネタバレ無し)最近読んだ漫画の感想(エイティエイトを2でわって/きららファンタジア)

今日は、タイトルに書いた2作の漫画を読んだので、それらの感想をネタバレ無しで書きたいと思います。
どちらも、非常におすすめの漫画なので是非皆さんも読んでみてください。

 

 

エイティエイトを2でわって

画像:

https://seiga.nicovideo.jp/comic/62785

現在、1巻が発売中の漫画です。

公式あらすじは以下の通り。

ピアノが大好きな少女・藤田美弦(みつる)は、入学した高校の寮で、かつてのピアノのライバルで当時天才と呼ばれていた小林奏(かなで)と同室になる。しかし奏は留学した時のトラウマから、ピアノが嫌いになってしまっていた。そんな奏を、美弦はピアノ連弾に誘う――

ということで、この作品はピアノ連弾が題材になっています。

 

 

私は以前、ある程度長い間ピアノを習っていたことがあるんですが、連弾というものには、二人で弾くからこその独特の良さがあるんですよね。

 

ピアノ教室でピアノを習っている人たちは、小中学生といっても皆、価値観やピアノの腕前は大分違うわけですが、私が通っていた教室では結構、そういった色々な人と連弾をする機会がありました。

そこでやっていた連弾は、物理的にも距離が近いところで演奏するということで、弾いている間はピアノの技術とか音とかだけではなく、心をやりとりするような感覚がありました.

 

…という風に、言葉だけで説明しても中々上手く伝えることが難しい概念ではあるんですが、この漫画はその連弾の良さを上手く伝えることができていると思います。

その真摯な描き方から、ピアノのことを知っているとちょっと嬉しいような描写とかも一杯あるんですが、勿論、音楽やピアノに詳しくなくても楽しめるようになっていると思います。

 

また、公式あらすじにある通り、ピアノで挫折を味わった奏と、明るい主人公の美弦が連弾を通して通じ合っていく様子もよく描かれています。

 

ピアノ教室で、「コンクールとかに出てる人たちってなんか……大変そうだな……」って思うの、ピアノやってた人なら結構あるあるな気がするんですが、ピアノ以外でも、習い事、勉強、部活など、色々なところで、友達が高みを目指して苦労しているところを見たり、自分がそうだったという経験は多くの人にあると思います。

 

 

ここまで聞くと、どことなくしっとりした作品の印象を受けるかもしれませんが、これらの内容がギャグも多く交えた明るい作風で描かれているのが本作の最大の特徴です。

 

ここまで、全体を通していやらしくなく、分かりやすく、軽快なギャグでこのようなしっとりした題材が真摯に描かれているというのは中々無いのではないかと思います。

 

こればかりは言葉で説明するのは難しいので、試し読みを読んでください。

 

総じて、(自分が今まで読んできた中では)きららとしては非常にストレートなテーマ性、ストレートな話の面白さでありながら、それを楽しい雰囲気で描くという独自性があり、非常に多くの人に受け入れやすい作品にまとまっているのではないかと思います。

執筆時点では、なんと9話分も無料で読めるようなので、何卒……!!

seiga.nicovideo.jp

ちなみに、きらら編集部のツイートでは、1巻は「大変好評」みたいです。

個人的に、これがアニメ化まで行ってくれなかったらマジで泣くわ…というくらいの、普遍的に親しみやすい面白さを持った作品なので、頼む………

 

きららファンタジア

2023年2月にサービス終了した同名スマホゲームのコミカライズとして、2019年から2023年まで連載していた作品です。

 

前半の方は無料で読んでたので、後半の4〜6巻を買いました。

 

私は、このスマホゲーム自体はそこまでやり込んではいなかったですが、(コミカライズ範囲である)メインシナリオ第一部を全部読むまでは遊んでいました。ただ、原作の原作(メインシナリオの題材となっているきらら作品)で読んでたのは「がっこうぐらし!」くらいかな……という感じです。

 

感想としては……本当に良かったです。

 

(恐らく)アプリがサービス終了したことに伴い、第一部が全部きちんとコミカライズされることなく漫画も終わったということで、実質的に打ち切り的な形になった作品ではあるんですが、まあ……作者さんが、最後まで本当に愛をもってこの作品を描いてくださって本当に良かったなと思います。

 

 

この漫画の面白さとしては、原作ゲームのストーリーの翻案の上手さとか、各漫画のキャラクターの絵柄やキャラクター性の再現度の高さ、きらら作品への理解度の高さなどは勿論よく言われていることではあるんですが、やっぱり私はゲーマーとして、「純粋にRPGゲームのコミカライズとしてのクオリティが非常に高い」というという点を一番に推したいです。

 

作者の鴻巣(こうのすさとり)さんのTwitterを見ると、同人ゲーム・フリーゲームRPGなどを結構熱心に追っている方で、また、コンソールゲームなども多く遊ばれているということで……きらら作家で、作中に登場する様々なきらら作品に詳しく、かつ、これだけRPGが好きな方が存在していて、そしてこのコミカライズを担当してくださったというのが非常に奇跡的なことだと感じます。

 

 

元も子もない話ではありますが、きららって、勿論ゲームと関係がある作品もありますが、少なくとも特別多いというわけではなく、接点がそんなにあるコンテンツなわけでは無いと思うんですよね。

きらファンのサ終が告知されたときは「ソシャゲやゲームがやりたくてこのゲームをやっている訳ではなかった」という感想もまあまあ見受けられました。

 

しかし、きらファンのストーリーは、昔ながらのRPGの典型的な形であるロードムービー形式(水戸黄門形式)を取っていて、なんというか…昔ながらの形式であるが故に、楽しむには、現代のシナリオにしてはある程度ハイコンテクストなゲーム文脈が要求されるストーリーだったと思います(個人の感想です)。

 

もう少し具体的に言うと、行く先々での人々(きらファンではクリエメイト(※))との交流はたくさん描かれますが、目的地と目的地との間の道中の様子とか、旅を経ていく中で少しずつ主人公が成長していく様の描写などは比率としては少なめで、そこは「プレイヤーが想像したり、実際に感じたものとか、あるいはゲームシステム(クリエメイトのレベルが上がったり、プレイヤー自身のゲームの腕前が上がること、あと、きらファンでは里でのクリエメイトとの交流・育成など)で補完してくださいね」という形式だったんですよね。

(※)作中世界に呼び出されたきららキャラクター達

 

ストーリーの最後のオチなんて、まさにそうじゃないですか。

今までのクリエメイトとの思い出というのは、ストーリー上はオーダーで召喚されたクリエメイトとの話、ということになっていますが、私たちがコールで召喚して、一緒に戦ってくれた(メタ的に言えば、ガチャで入手して、育成し、里で交流を重ねたり、広義にはきらファンというゲームをプレイしたことの全て)クリエメイトとの思い出も含まれているよね、という表現だと自分は解釈しています。

 

ということは、ゲームではないコミカライズでは、ストーリーの「ゲームシステムで補完して想像してください」の部分を補完してほしいものですが、まあ、もう完璧にやってくれましたね。

 

とにかくゲームシステムの漫画への取り入れ方が上手い作品でした。
その要素を漫画に入れてくるのはもう完全にオタクだろ……というのも一杯ありましたが、それも含めて、この点で非常にクオリティが高い作品だったと思います。

 

具体例は枚挙に暇が無いですが、それぞれのボス戦での編成パーティが、きちんとゲーム的にセオリー通りのパーティの組み方をしていたのとかは、ソシャゲRPGのコミカライズとして非常に真摯だったと思います。

(ポケマスで例えると、登場した全パーティがきちんと攻撃と急所率を最大まで上げられるような編成になっていました)

 

後は、ネタバレにならない程度に各章の話をすると、2章がごせんぞ(まちカドまぞく)のオタクすぎてめちゃくちゃ嬉しかった…とか、3章であの世界のことを知った他の世界の高校生の様子を描くの真摯すぎる…とか、最後のカルダモンの台詞いくらなんでもオタクすぎるだろ…とか、ですかね。

 

そして4章。

まあ……まあ…なんかもう言うこと無いよな…これ…

 

ただ、このテーマは突飛なものではなく、「日常」というテーマの普遍的なものとして、(俺が読んだ中ではがっこうぐらしとか)色々な作品で扱っている題材なのがいいですよね。

 

作中でも、自然に、あくまでもAチャンネルの話として綺麗に描いてるのが芸術点が非常に高いです。

 

 

今日は以上です。とにかく、良い漫画が読めて良かったです。

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