FUZで星屑テレパス1巻を読んで、その後すぐ書店で4巻まで買ってきて読んだ人の感想です。
きらら作品は数えらえれる程度には読んだことはありますが、そんなにたくさんではないです。
まずは、とても出会えてよかった作品でした。この作品を作ってくださり、ありがとうございます…
という訳で、今回はその熱い思いを全力で書きたいと思います。
なお、この記事は4巻までのネタバレ全開です。
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- 好きなキャラ
- コミュニケーションの話~おでこぱしーだって、気持ちがぐちゃぐちゃじゃ使えない~
- 世界観について~きらきらした場所だからこそ、一歩を踏み出せる~
- 作中の表現のちょっと真面目な話
- 4巻の話
- 最後にまとめ
- ちょっと余談:大熊先生の配信見ました
好きなキャラ
一番好きなのは瞬さん。
でも、一番「自分のことだ…」ってなるのは宝木さんかな……と思います。
夢や目標を追いかけるのをやめるきっかけとかがあった訳ではないですが、そういうものを持つのってすごく難しいなと思っていて、それでも勉強とかしてれば何とかなるかなと思ってたら、いつの間にか居場所が無くなってて……
これ以上は自分の話すぎるのでしませんが、そんな感じだったので……。
こういう話を読んでも、本当に「自分のことだ…」になることって必ずしも多くないので、今回は結構ドキッとしましたね。
コミュニケーションの話~おでこぱしーだって、気持ちがぐちゃぐちゃじゃ使えない~
コミュニケーション。それは、私もとても苦手なことです。
これを題材にした作品は色々ありますが、星屑テレパスは、その中でも「人と話せるようになること」が最大の目的、目標というほどでは無いのが好きな表現だなあと思いました。
あくまで、「皆で一緒にきらきらした夢を目指したい」「皆の居場所、気持ちを守りたい」ということが海果の目標であり、その気持ちを皆に伝えるためにコミュニケーションを行うという話になっています。
では、コミュニケーションをしなくていいのか、コミュニケーションがお話の題材ではないのかといえばそうではなく、むしろこれまでに無くしっかりとコミュニケーションの難しさ、大事さなどに向き合った作品となっていると思いました。
作中で突然海果が出会ったユウが持つ、「おでこぱしー」は、コミュニケーションの重要な過程である「話す」という部分を省略するファンタジー的な力です。
しかし、それは「万能のズルの力で、なんでもできるか」というと、決してそうではないのです。
1巻では「テレパシーも言葉も 大事な部分は一緒」という台詞があります。
そして、以前からなんとなくそんな描写はありましたが、ついに4巻ではユウが自分の気持ちに迷い、そして相手の気持ちを知ることが怖くなった結果としておでこぱしーが使えなくなってしまいます。
つまるところ、確かにおでこぱしーは「会話」しなくても気持ちを読み取ることができるけど、相手のことを知ろうとか、相手に気持ちを伝えようという気持ちが無ければ上手く働かないようです。
また、少し話が変わりますが、海果は、4巻に入っても「会話」を上手くすることはできません。
それはまだ自分の言葉に自信を持てないとか、そういった面がある時もありますが、練習したり、皆に伝えたい思いが明確でも上手くできないのは、まあ、少なくとも「心が弱い」とか、そういうことではないだろうと思います。
そんな時、必ずしも「言葉」だけで全て伝えなくてもいい。ゆっくり話してもいい。周りの人に助けを求めることでなんとかしてもいい。
それを表すエピソードは幾度となく作品の中で示されますが、その優しさには本当に温かい気持ちにさせられました。
それは、決してズルではなく、してもいいことなんですよね。
それは、本来は当たり前にあってほしいことではありますが、たくさんの世界を生きる人だけでなく、似た境遇の私(筆者)もついどこかで忘れてしまいそうなことでした
もちろん手段が他の人よりも少ない中で気持ちを伝えるということは、他の人より苦労する必要があることも多いですが、それ(海果が周りの人の助けを借りたり、色々な方法を考えたりすること)がしっかり、現実的なものとして描写されている事にはとても感謝を伝えたいです。
「おでこぱしー」の話とこの話題を振り返ると、「会話することだけがコミュニケーションじゃないし、おでこぱしーがあればそれだけでコミュニケーションができるわけではない」、「どんな方法でも、気持ちを伝えたいという思いの大事さは一緒」ということは結構作品の大きなテーマの一つなのかなと私は思いました。
そして、それはとても私を温かい気持ちにさせるものでした。
世界観について~きらきらした場所だからこそ、一歩を踏み出せる~
この作品は、(特に最序盤は)とにかくかなりきらきらしていて、海果はいかにもな可愛くて引っ込み思案な主人公だし、ユウはかなり電波って感じだし、宝木さんも何故か初登場回では電波っぽいし、可愛い女の子が出てくる漫画、といえばこういうイメージ!という感じでした。
正直なところ、個人的には、単にきらきらしていてかわいいだけで、伝えたいものがはっきりあるわけでは無いという作品は(実際にそんな作品があるのかは分かりませんが)少し苦手です。伝えたいことがある漫画が好きなので…
しかし、星屑テレパスは明確に「この世界観の中で」伝えたい事が明確にある作品でした。
きらきらなところだけではなく、シリアスなところがあるから良いというのとはちょっと違います。それもあるけど、それは自分が読んできた他の多くのきらら作品にもある要素です。
私が特に特徴的だと思ったのは、「きらきらした世界観だからこそ」意味がある話
をたくさんやっているところです。
最初に海果が思い描いたきらきら(夢)は、地球ではなく宇宙に行って宇宙人の仲間になることでした。
それが、ロケット同好会の皆との出会いで、地球上にきらきらしたものを見つけ(海果の視点ではみんなが与えてくれて)、それを大事にしていこうとします。
そして、海果のきらきらした(あえて悪い言い方をすれば現実的では無い面もある)考え方に否定的だった瞬も、きらきらした居場所を認識して、そして、皆の夢や目標に一緒に向かおうとしていきます。
この流れが、非常に美しいです。
私は最初は瞬のように、とてもきらきらした夢や世界観自体に、少し否定的なところもありました。
ですが、話を読んでいくうちに、きらきらした居場所を求めていた人たちの気持ちが同じ場所に重なったから同好会が生まれんだということや、きらきらした夢や目標を持つからこそ、一歩を踏み出すことができるんだ、ということがたくさん表現されていくうちに、すっかりそれらの大事さに共感できるようになった。
きらきらした気持ちがあったら現実に向き合えない、なんてことはなく、そんな夢を持つからこそ、地球がきらきらしているからこそ前に一歩踏み出せる(恐らくは、現実と向き合う気持ちや力が生まれる)んだと、改めて感じることができて、とても良かったです。
作中の表現のちょっと真面目な話
ここからは内容というより、表現のお話です。
この作品では、キャラクター達がそれぞれ抱えている不得意なことを、ネタでも笑ったりとか、馬鹿にしたりしないお話が徹底されてるのは良いよなあと思いました。
瞬さんはかなり強く海果たちの弱さを指摘したりはしますが、たとえば海果が話すのに時間がかかることとか、そういうことを馬鹿にはしないし…
上手く言えないですが、「性格、心の弱さ」とかは笑ったり、指摘したりするときもあるけど(ユウが電波だと言われたり)、「自分の意志に関係の無い体/心の特性」みたいなものを徹底してネタにしないのは、このような題材を扱う上で非常に真摯だと思いました。
海果が上手く話せないのって……もちろん、心に持った苦手意識とか、そういったものも大きいと思いますが、すごく頑張って話そうとしても上手く話せないことも多く、それはそれだけでは無いと思うので(※)……
(※)当然、必ずしも明確に線を引けるものではないというのは前提として。
こういう題材のお話で、誰かの特性を笑ったりとか、そういう事も特に気にしないとか、そっちの方が直接的でリアルな感じがするとか、そういう方もいると思うんですが、個人的にはそういうのはかなり気になってしまう(誰かを思って、というよりは当事者なことが多いので)ので、こういう表現はありがたいです……
(こういう表現についてに限らず、全体的にアクセシビリティが高い作品は本当に助かります)
4巻の話
4巻、やっぱり良いですよね。
やっぱり、「自分と向き合うことで、皆のことをもっと知れて、皆と前に進める」という話が繰り返し出てくる作品ですが、最後に自分に向き合うのが、本当の意味で何者か分からないユウなのが良いなと思います。
「ねえ さかさまの気持ちが…同じ場所にあるのって こんなに苦しいんだね…」
これまでを本当に総括したような言葉で、すごく印象的でした。
それって本当に、本当に苦しい事なのが分かるから…(私自身の体験でも、作中の今までの話からも…)その列の上のコマも含めて、ストレートに表現されてるとすごいです……
そして「心が変わっていくから、皆と前へ、きらきらした夢へ進んでいける」という話に帰着するのがとても美しくて最高でした……
ロケット同好会の皆は本当に色々な弱さも抱えているけど、本当に良い人で、みんなが大好きです。
最後にまとめ
作品を読むのは結構あっという間に進めましたが、こうして振り返ってみると、色々な大事なことを改めて知ることができる作品だったなと思います。
まだまだ続いていきそうなので、これからも楽しみにしております……
あとアニメも見てます。それも含めて、また新たに感想が思い浮かんだら、新しい記事を書いたりしようと思います。
ちょっと余談:大熊先生の配信見ました
全部では無いですが、タイムスタンプがあるところなどを見させていただきました。
その……、自分が色々な作品を見たときとか、それ以外でもtwitterで何かがあったときに、その作品が好きとか苦手とか、あるいは好きだけど何かあるとか、そういった様々な気持ちは当然持ちますし、自分もそういうことを意見や感想としてTwitterやブログに書くことはありますが、作家さんがこうやって頑張って作品を作ったり、こういう事をしてくださる限りは作家さんたちの気持ちは忘れないでおきたいと、改めて強く感じました。
あと、海果ちゃんの描写のお話がありましたが…
なんかさっきの表現の話で近いことを結構書いてしまいましたが、改めて、そういったことを真剣に捉えて作品を描かれていることは、とても支持したいです。
(ここしか書く場所が無かったのでここに書きたかった話でした。)